失恋相手が恋人です
当然だけれど、いつも彼は私には目もくれず。

ただ、窓の外を眺めていた。

桜はもう、とうに散ってしまい、今、見えるものは雨模様の空だけだというのに。

気分が落ち込んでくるほどの重たい空をどうしてわざわざ……?

天気や季節が変わる度、不思議に思ったけれど、わざとらしく席を替わって窓の外を覗きこむこともできず。

かといって彼に話しかけて尋ねるなんて論外で。

結局いつも、私は疑問を抱くしかなかった。

本館に通って、桧山くんを見つめていることを萌恵には話していなかった。

話したくなかったわけではなくて。

勘がいい萌恵のことだから、私が何かしら桧山くんを気にしていることは、きっと気付いている筈で。

さらにはこの間、髪が絡まって真っ赤になっている私を吏人くんに目撃されている。

……その話を吏人くんから萌恵が聞いていない筈はなく。

ただ、私自身もどうして桧山くんのことが気になってしまうのかよくわからない。

惹かれている?

……何も知らないのに。

目を惹く容姿?

……憧れ、かな?

こんな、自分でも消化できていない気持ちを萌恵に説明できるわけがなくて。

大事な友人の萌恵に隠したいわけではないけれど。

せめて自分の気持ちがはっきりとわかったら。

その時に話したいと思っていた。
< 19 / 117 >

この作品をシェア

pagetop