失恋相手が恋人です
図書室が開く朝一番から集まっていたせいか、正午近くにはお腹が空いてきた。

「ねぇ、そろそろお昼にしない?」

同じくお腹が空いていた様子の萌恵の一言でランチタイムとなった。

「あー……腹へった」

「学食って今日は開いてるんだっけ?」

「あっ、そっか、夏休みだもんね……。
開いてないかも。
駅まで出る?」

本を閉じて、自習スペースに散らばった荷物を片付けて、私は二人に提案した。

「そうしよっか。
ちょっと外の空気吸った方が気分転換になるし」

「俺も賛成。
でも、萌恵。
奢らないからな」

「えーっ」

残念がる萌恵。

私達はそんな他愛ない雑談をしながら図書室を後にした。

「うわっ、暑いねぇ」

日射しを手で遮りながら萌恵が言う。

「室内との気温差すげえな」

「まだまだ日焼けどめ必要だね」

そんな話をして歩いていたら。

「あっ」

正門を出たところで私の足が止まった。

「どうしたの?沙穂」

「……ごめん、図書室にスマホ忘れちゃった!」

「大変、皆で取りに……」

「ううん、先に行ってお店を決めていて。
後で電話するから」

「いいの?」

「沙穂ちゃん、もし机に置きっぱなしとかだったら俺が代わりに取りに行くよ」

「ううん、悪いし。
スマホ、バッグの中だし……」

さすがにこの暑さの中で吏人くんに引き返してもらうのは気が引ける。

しかもバッグの中だし、邪推するわけでは全くないけど、バッグの中を見られることは恥ずかしい。

「本当、ごめんね。
行ってくるっ」

言うやいなや私は踵を返して走り出した。

日射しが私の素肌を照らす。

日焼けどめを塗っているけれど、半袖のシャツワンピースからのぞく腕が痛いくらいだ。
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