失恋相手が恋人です
でもその恋は。

小さく始まった、好き、は。

気が付いた途端に。

自覚した途端に。

失恋が決定したようなもの。

そう。

選ばれる相手はたった一人。

特別になれる人はたった一人。

隣りを歩くことができる人はたった一人だ。

片思いは一人で始めるものだけど。

自分の存在すら知られていないようなひっそりした片思いなんて。

何だかとても悲しくて。

でも。

友達だったら、知り合いだったら何か変わっていたのかな、なんて思えることもなくて。

どこまでも消極的な片思い。

色々な気持ちや思いを抱えて、意識が桧山くんと歩美先輩のほうに傾いていたからか、図書室から一体どうやって帰っていったのかもわからなかった。

気が付いたら私は自宅にいて。

着替えもせずに、本の返却もせずに。

床に座り込んでいた。

涙が出るわけではなく。

何かぼうっとしていて、頭の中が空っぽになっていた。

しばらくそうしていたら。

スマホの振動に気付いた。

液晶ディスプレイに表示されていたのは萌恵だった。
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