悪役の私
「美味しいっ!」
「本当に。たくさんの命に感謝だね」
突然先生みたいなことを言う優。
でも確かに私達が食べているものはたくさんの命であって、感謝しなくてはいけないのは当たり前だ。
それを普通に口に出して言えるか言えないかが大事であって、当たり前に言える優は、本当に私にはもったいないくらいに心が綺麗な人なんだと思う。
そんな優と一緒にいることで、私の心も純粋になっている気がするし、優しい気持ちになれる。
その後もくだらない話をしながら、あっという間に満腹になった私達は、とうとう貸切露天風呂へ向かうことになった。
「優、先に脱ぎなよ」
かれこれ脱衣所に入って10分程経つが、まだまだ勇気は出そうにはない。
「いや俺は後でいいよ」
「……。」
長い戦いをを繰り返したが、結局お互いせーので脱ぐことになった。
たったの50分しかない貸切露天風呂を、こんなことで時間を使ってしまうのはあまりにももったいない気がしたのだ。
とりあえずお湯を身体に浴び、湯船に浸かる。
意識しないようにとは思ってもやっぱりドキドキは止まらなくて。
「西沢さん、上見て」
下を向く私に優が優しく話しかける。
ふと顔を上げると、そこには綺麗な星空が広がっていた。
「綺麗…」
気が付いたら私達は緊張していたことなんて忘れていて肌と肌が密着するくらいの距離で一緒に夜空を見上げていた。