永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。
でも、私が怖いのは……ただ死ぬことだ。
心臓の弱かった私は、病院に通いつめで、学校でもスポーツは見学ばっかり、家族にも外出は制限されていた。
ほとんど外の世界を知らない……。
それで死んでしまったら……私は、何のためにこの世界に生まれてきたんだろう。
意味の無い生なんて無い。
そう言うけれど、ただ生きるために生きてきた私は……。
この病院という名の白亜の籠で生かされる、生き人形だ。
「そうよね、怖いわよね……。でも、不安なことは抱えずに吐き出すのよ?ストレスは病気にも良くないから」
さっちゃんの声にハッと我に返る。
いけない、私はまたボーッとして……。
「あっ、はい、ありがとうございます」
「うん、じゃあまた顔を見に来るわね」
慌てて笑顔を、取り繕った私に気付くことなく、さっちゃんは病室を出て行った。