魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜







「なあなあ。俺、お前の彼氏に会ったことないんだけど、いつになったら会わせてくれるわけ?」


不躾にそんなことを言われて、眉根が寄る。


大学の講義が同じなだけで、他に接点もないのに何故か付きまとってくる男子。


名前なんて知らない。



「本当は彼氏なんていないんじゃねえの?」


顔を合わせるたびにちょっかいをかけられて、うんざりしている。


「あなたに合わせる必要がない」


自分からこんな冷めた声が出せたのかと思うほど素っ気ない言葉が口から出る。


私のことなんて放っといて欲しい。


そう思うのに、更に神経を逆撫ですることをこの男は言ってくる。



「なに、合わせられないくらい醜男なわけ?」


どうしてそうなるのだろう。


この人は、外見でしか人を判断できないのだろうか。


ちらり、ここにきて初めて目を向ける。



それなりに整った顔をしている……と思う。


なるほど、自信があっての言葉なのだろう。


毛ほども興味は湧かないけど。


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