小さな村の大きな話



消毒液の匂いを感じてゆっくりと目を開ける。
視界には真っ白な天井。



「…目が覚めたか??」


「…はい」



あー、また来ちゃったんだ…。

……って、この人……だれ??



「まさかこんなに早く運ばれてくるとは思わなかったな…」


「えっと…」



あ、そっか…大和くんは出張で…。



「壱原の同僚の佐伯錦(さえき にしき)だ。」


「ほ、本田りんです」


「知っている」



…なんか、愛想がないというか…。
むしろ怖い??

佐伯先生はカルテをめくりうーん、と唸っている。



「心電図と……、そうだな採血も」


「えっ……」


「採血くらいで嫌な顔するな。もう高校生だろ」



……はい、そーですよ。
高校生です。でも、そんな言い方しなくてもいいじゃん……。



「不満なら直接口に出して言え」


「別に…」


「お前、面倒な奴だな。
そんなんだから体育倉庫に閉じ込められたりするんじゃないのか??」


「なっ!!!」


「自分の状況を把握して自衛くらいしてほしいものだな」



「……」



私だって好きでこんな目にあっている訳じゃない。



「……お前なぁー、さっきから聞いてれば女子高生いじめてんじゃねぇよ」



シャーっとカーテンが空いて瀬野先生が出てきた。



「よぉ、大丈夫か??
わりぃな、こいつ愛想ないし言葉にトゲあるし思った事すぐ言うし。悪気はねぇんだよ。
仲良くしてやってな」


「仲良くする必要はない」


「可愛くねぇな」



先生はベッドの横の椅子にどしっと座るとケラケラと笑っている



「えっと…」



これはどういう状況??



「錦はお前らの先輩だよ、幼稚園から大学までずーっとこの村。
つまりこいつは俺の教え子」


「そう、なんですね…」


「瀬野、病人相手にべらべら話しかけるな。
いくら教師といえど疲れさせるために来たなら追い出すぞ」


「あぁ、わりぃ。もう帰る。無事が確認できればいいんだ。
どうする、本田??親御さんには学校から連絡しておこうか??」


「あ、いえ。結構です」



すると、先生は「そうか」とだけ言って帰っていった。

うん、静かになった。

……
………

……気まずい…。



「顔色悪いな…」



佐伯先生はカルテから顔を下まぶたを下げた。



「今血を抜くのもな……。
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