【完】もっとちょうだい。
俺はふっと笑って、
水しぶきで濡れた頬にキスをする。



ちょっと真面目にいうけどさ。



「盛るとかそういう努力しなくても
芙祐は十分、男惹きつけんの」




戸惑うように揺れた芙祐の瞳。
俺から離れない。



ちゃんと。
ずっと、そうしてろよ。


この先、長い人生、
どこで誰と出会っても


絶対俺から目離すなよ。




「ヤヨちゃん……どうしたの?」


鈍感だし。
人を翻弄させるためにうまれてきたような奴だし。


「変な奴に取られないか心配になるわ」


なんで本人に向かって
相談してんだろうな、俺は。



芙祐はきょとんとしてから
きゅっと口角をあげる。


「ヤヨちゃん、あたしのこと大好きだね?」


にやにや、うざいな。


どうせな、俺は。
芙祐と初めて会話した中三の終わりのあの日から。
ずっとずっとお前だけ、



「大好きだよ。悪いか」


ヤケみたいに言った俺。



芙祐は満面の笑みをこらえきれずに
浮き輪越し、
俺をぎゅっと抱きしめる。



「こんなにドキドキさせる人がいて、よそ見できるわけないじゃん……」




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