【完】もっとちょうだい。
海も十分楽しんだ。夕方前。
予約した旅館に着いた。


「わぁー、綺麗!」



和室なんだけど、改装したばかりだそうで。


「ちょっと近代的な和のテイストがオシャレすぎる……」らしい。


とにかく芙祐が目を輝かせて部屋を見ているから一安心。



「すごいヤヨ、海がよく見えるよ!」


窓ごしに見える、湯気の立つ露天風呂の奥。
その景色に目を細めた。



「ゆ、夕飯何時だっけ」


「ん?6時」


「そっか……」


芙祐が突然そわそわしだす。

露天風呂、意識した?



「あの、お風呂って……いつはいる?」


「いつでもいいよ」


「そっか……」


そわそわ、ちらちら。
どんだけ落ち着かないの、お前。



思わずぷっと吹き出した。


一緒に入りたいとか、そこまで思ってないから。
あわよくば程度だから。


そんなガチで思い悩むなよ。



「いいよ、風呂は別々で入ろ」



頭をくしゃくしゃっとすると、
芙祐は「うん」といってうつむく。



「ヤヨちゃんごめんね?」


うわ。
上気する頬に、その上目遣い。



「その顔は……ずるすぎ」


ちゅっと、くちびるを重ねた。




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