【完】もっとちょうだい。
ふみ君と別れて、俺たちは部屋に戻った。


部屋に戻ると、布団が並べて敷かれてあって、ありがちだけど、目をそらして俯いた。

「お風呂……どうする?」

「先どうぞ」

「えぇ、やだ。ヤヨが先はいって」


「あ……じゃあ、はい」


芙祐がタオルや浴衣なんかを俺に押し付けて
「ごゆっくり!」って、
それはちょっと可愛すぎるやつなんじゃねーの。

だって真っ赤すぎない?


なんかその顔はそそる。

そういうのを見ると、
俺はなんとなくもう少し欲しくなる。


芙祐の傍を横ぎるとき、
わざと少しかがんで耳元に顔を近づけた。


「先行って待ってる」


びくっと跳ねた芙祐の肩。

去り際にククっと笑ってしまった。


とりあえずそのまま歩く。


後ろから時間差で「えぇ」と情けない声が聞こえた。


冗談に決まってんだろ。
もう一回笑った。


部屋の奥の扉で繋がる露天風呂まで歩く。



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