【完】もっとちょうだい。
温泉につかる。
見渡す限り静かな海。
きらきらした夜景とかじゃないけど、多分、いや絶対に芙祐が喜ぶやつだ。


……広い。
家族風呂を想定されて作られたみたいな広さ。


ひとりって、なんか味気ないけど、まぁいいかってそう思った時。

がちゃ。

その音の方を振り向くと、バスタオルを巻いた芙祐がいた。


その白いバスタオルと真っ赤な顔。
コントラストはんぱない。


心臓がドキンドキンと脈打ち始める。
びっくりするくらい、頬が熱い。温泉のせい?


「な……」

なんで。

その声も詰まってしまうほど。

俺と芙祐はそのまま動けない。


「いや、冷えるから……入ったら……」


俺は目をそらして言った。


「……むこうで、シャワーしてから……入る」


芙祐がすっと指さすのは、竹で作られたついたての奥。


「覗かないでね」

「誰が覗くかよ」

「ひど……」



だから、ひどくないだろ。





< 263 / 268 >

この作品をシェア

pagetop