【完】もっとちょうだい。
「ヤヨ……」

こっちに顔を向ける芙祐。
そのとろんとした顔は何。


「なに?どうした?」


たじろぐ俺に、真っ赤な困り顔。


「あつい……」


溜息まじりに言うなよ、まじで。


俺はフイっと顔を背けて「あがる?俺も熱い」と情けなく言う。


「うん……あがる」


ちゃぽんと湯から出る芙祐は、そのまま「すずしい」と柵の傍まで行って、海を眺めた。


バスタオル最強か。


俺も芙祐の隣で海を眺める。


涼しい風がちょうどいい。


「ヤヨ、手つなご?」


そんな上目遣い、今したら駄目だろ。


そのまま、唇に近づく。


芙祐は察して、目を閉じる。


ちゅ……っと短い音がして、離れた唇。


至近距離で俺を見上げる芙祐の目。


もっと欲しそうなその潤んだ目。


片手の指と指を絡ませて、俺はもう一回キスをした。深く。


侵入を許さない、その歯のガードってなんなの?


俺が負けると思ってんの?



「……んっ」


その声、もっと、こっちは聞きたいわけ。

絡みあう舌。

もう限界みたいに、芙祐が俺の胸をはね飛ばした。


「……もう……ヤヨのばか」


そう言って顔を両手で覆う芙祐。


もう俺はそのままバスタオル剥がしたいとか
そういう事ふつうに思うけど。


いや、無理した。普通に結構限界だけど。


「先行ってる。飲もうぜ」


今夜は長い。






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