もう一度だけでも逢えるなら
 馬鹿やろー! 何してんだよ! 死んでんじゃねーよ! 

 みくさんの叫び声を聞きながら、水樹は死んだふりを続けた。みくさんが鉄塔から降りてくると思って。



 私のせいで人が死んじゃった! あーあ! どうしてこんなことになっちゃったのかなー!

 みくさんはなかなか降りてこない。水樹の計算は狂ってしまった。


 
 うう! うう! ううう! 水樹は大きく唸り声を上げた。体を反転させて仰向けに。

 びくびくと体を震わせながら、大きく唸り声を上げ続ける。

 

 生きてるじゃん! みくさんは驚きの声を上げた。

 鉄塔から降りてきて、きっと救急車を呼んでくれるはず。水樹はそう思い、痛がる演技を続けた。



 それでも、みくさんは鉄塔から降りてこない。

 水樹は痛がる演技を続けながら、ゆっくりと立ち上がった。
< 125 / 180 >

この作品をシェア

pagetop