もう一度だけでも逢えるなら
 あと、十分。

 あと、九分。

 あと、八分。

 あと、七分。

 あと、六分。




「今、何時だ」
 水樹がやっと言葉を発した。

 私はすぐに腕時計に目をやった。

「十一時……五十五分……四十五秒……」

 あと、四分十五秒しかない。

「俺の星時計は正確だな」

 水樹は自慢げに言うと、ゆっくりと立ち上がった。

 私の真正面に立っている。距離は、一・五メートルくらい。

 水樹の顔は月明かりに照らされている。辺りは暗いけど、よく見える。

 私は体育座りをしたまま、水樹の顔を見つめた。
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