もう一度だけでも逢えるなら
「どれもなさいません。服を着ないと、部屋に上がりませんよ」

 ちょっと強い口調で言われてしまった。

 相変わらず、私から視線を逸らしたまま。

 目のやり場に困っている様子。

 喜んでくれると思っていたから。

 かなり残念だけど、今日の新婚ごっこはここまで。

 水樹に嫌われたくないので、私は服を着た。



「変質者に襲われたりでもしたらどうするんですか!」

 水樹に叱られてしまった。かなり強い口調で。

 馬鹿な元彼たちだったら、もうとっくに私を押し倒していると思う。

 玄関でそのままセックス。

 するほうもするほうだけど……。

 やっぱり、水樹は普通の男とは違う。つくづくそう思う。

「ごめんさない」
 
 私は素直に謝った。心の底から反省。

 せっかく買ったセクシーエプロンだけど、ゴミ箱に捨てた。

「ものすごく嬉しかったですよ。さっきは我慢していたんです」

 水樹は一気に笑顔になった。

 あとでちゃんとフォローしてくれるところが、水樹の優しさの一つ。



 いつか、私を抱いてください。



 そう心の中でつぶやき、水樹の笑顔を見つめた。
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