イケメン御曹司のとろける愛情
「それじゃ、俺がクリーニング代を持つ代わりに、俺のために一曲弾いてくれるっていうのはどう?」
「え?」

 そんなのでいいの?

 私が瞬きをすると、水無川さんはしまった、というような顔をした。

「ごめん、ずうずうしいことを言ったね。クリーニング代なんかでキミのライブを独占なんてできるわけないか」

 私はあわてて言う。

「そ、そんなことないです! 私なんかでよければいつでも演奏させていただきます!」
「いや、さすがに申し訳ないよ」
「クリーニング代の方が申し訳ないですってば。控え室にはピアノがあるので、なんなら今からでも!」
「俺はすごく嬉しいけど、マネージャーとかに怒られない?」
「マネージャーなんていませんってば」

 私は思わず苦い笑みをこぼした。スイートルームを控え室にしているからって、私は樋波さんとは違う。彼女みたいなビッグアーティストではない。

 しいていえば、自分のマネジメントは自分でやっている。

 私は胸を張って彼を見た。
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