イケメン御曹司のとろける愛情
「お好きな曲をリクエストしてください!」
「それじゃ……『フライ・ハイ』をお願いできる?」
「もちろんです!」

 私が言うと、水無川さんは笑顔になった。

「嬉しいなぁ。ありがとう」

 精悍に整った顔をくしゃっと崩す笑い方に、知らず知らず私の口元もほころぶ。

「じゃあ、先に着替えてきますね」
「俺はここで待ってるよ」
「わかりました」

 女性が着替えているのに同じ部屋にはいにくい、ということなのだろう。

 水無川さんの気遣いに感謝しつつ、カードキーでドアを開けた。中に入ると背後でロックがかかる音がする。濡れて気持ち悪いスカートをつまみながら、ライブ前に着替えたベッドルームに向かった。中に入ってドレスを脱ぐ。太ももの辺りが濡れていて、ほのかにカクテルの甘い香りがする。

 水無川さんは西谷さんに『ぶっかけてやろうと思った』って言ってた。『詐欺まがいのことを言ってキミを騙そうとしているのを聞いて、ついカッとなってしまった』って。

 今朝のエレベーターでのパンプス事件といい、西谷さんの件といい……。水無川さんには助けられてばかりだ。
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