溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
◇◇◇
駅からアパートまでの道をトボトボ歩く。
差した傘は、役割をほとんど果たしていない。
細かい霧雨に変わったせいで、差した傘の中まで舞い込むのだ。
頭の中では、亜樹が私を避けるようになるまでのやり取りを思い返していた。
ところが、その中のどこにも、今の私たちの状態に繋がる原因が見つからない。
不完全燃焼の気持ちを抱え、例のタワーマンションまで来たときだった。
見覚えのある車が停まっていた。
白いセダン。
京介さんと同じ車だ。
ドキリとした。
もしかしてナオミを探して……?
足を出せずにいると、ちょうど彼がマンションのエントランスから出てきた。
「……上川さん?」
私に気づいた彼が足を止める。
雨に濡れる京介さんに傘を傾けた。
「お疲れさまです……」
「上川さんの家、この辺なんですか?」
「……はい。もう少し先ですが」
「そうですか」
京介さんは小さくため息を吐き、腰に手を当てた。
寂しそうな顔だった。