溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

「ちょ、ちょっと待ってください」


慌てて引き留める。
それはできない。


『待たない。すぐに向かう』

「京介さん?」

『とにかく、俺は今すぐナオミに会いたい。だから会いに行く。部屋を教えないというなら、マンションの前でナオミが出てくるまで待つから』


京介さんは言いたいことだけを言うと、一方的に電話を切ってしまった。
スマホを持ったまま、しばらく放心する。

……どうしよう。
あの様子だと本当に来て、朝までだって待つ勢いだ。
もう一度電話を掛けてみても、呼び出し音が何回か鳴ったあと留守電に繋がるだけだった。

――支度。
急いで着替えてメイクしなくては。
京介さんが到着するより早くあのマンションの前に行かないと、住んでいないことがばれてしまう。

ベッドから飛び降り、メイク道具を並べる。
早く早くと気持ちばかりが焦って、いつものようにはできなかった。

慌てて着替えも済ませ、部屋を飛び出す。
外はまだ細かい雨が降っていた。
傘を差して、タワーマンションまで走る。
まとわりつくような湿気が、とても不快だった。

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