溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

周りでグラスを合わせる音が響き、私にも近くにいた人からグラスを合わせてもらった。
背の高い外国の人だった。
自分でも相当緊張しているのはわかった。
優雅な笑みにぎこちない会釈しか返せない。
もう帰りたい。その一心だった。

出席者たちが思い思いに会場内で歓談を始める。
日本語と英語以外の言語も飛び交うとは、どれだけワールドワイドなパーティーなのだ。

当然のことながら、どの輪にも加われず、ひとり立ち尽くす。
私が庶民の空気を醸し出しているせいで、避けられているのかもしれない。
改めて、すごい場に来てしまったのだと思い知らされた。
亜樹が言ってくれたように、この場を楽しむ余裕は私には持てそうになかった。

このワインを飲み終えたら帰ろう。
そう決めて壁際に身を寄せたときだった。


「おひとりですか?」


不意に男の人からそんな声が掛けられた。


「……はい」


亜樹の言っていたのは本当のことみたいだ。
こういうパーティーで、男性は女性をひとりでは置いておかないと。

安堵と不安の入り混じった複雑な感情で、顔をゆっくりと上げていく。
ところが、その人の顔を見て私は言葉を失ってしまった。

< 14 / 255 >

この作品をシェア

pagetop