溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
私の方は顔すら見られない。
私が不自然に俯いたところで彼にはどうということもないだろうに、胸の奥がチクチクと痛んだ。
上川美緒奈としては初めて乗る社用車。
今日は、運転席との間の壁が閉ざされることはなかった。
「柳川さんや宮原さんのようにはいかなくて、きっとご不便をおかけするかと思いますが、なにかありましたら遠慮なくお申し付けください」
走り出してすぐにそう言うと、京介さんは「いいえ、そばについているだけでいいですから」と岸谷部長の言ったように告げた。
それならあまり意味のないように思うが、副社長がひとりで展示会を回るのは体裁が悪いのだろう。
ここは腹をくくるしかないようだった。
展示会初日だけあって、会場はホテル業界の関係者とみられる人たちで溢れていた。
熱気に満ちている。
寝不足の私には辛い、人いきれだ。
「これはこれは、ル・シェルブルの芹川副社長ではございませんか」
受付を済ませた直後、さっそく二人の男性が京介さんに話しかけてきた。
「いつもお世話になっております」
彼に倣って頭を下げる。