溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

◇◇◇

大きな花束を抱えて、頭を下げる。
その瞬間、甘い香りが私の鼻孔をくすぐった。


「みなさん、今日まで大変お世話になりました。異動先でも頑張ります」


いよいよ企画部最後の日だった。
告示されてから一週間後という、異例の早さだ。

今回の不審な異動に、少なからずいろんな噂が飛び交ったようだったが、それもすぐに収束した。
役職付きの人ならともかく、一般職の私レベルだからだろう。

送別会を開くと言ってくれた岸谷部長に『ひっそり送ってください』とお願いし、企画部のあるフロアでお別れにしてもらった。
華々しく送られるような異動先にはふさわしくないと思ったからだ。


「上川さん、がんばってくださいね」


企画部のメンバーが口々に言う。

憐みがどことなく滲んでいるように見えるみんなの顔をザッと見渡し、「ありがとうございます」ともう一度頭を下げた。

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