溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

◇◇◇

ベッドのシーツ替えは、かなりの力仕事だ。
一人で一室のメイクをしなければならないので、孤独な作業でもある。

新人時代に培ったコツを思い出すのには、ちょっと時間が必要だ。
目標タイムの一室三十分は、まだ少しオーバー気味だ。

今日で三日目の客室係。
それでも回数を重ねるごとに、少しずつ勘を取り戻しつつあった。

私のほかにいる客室係は、だいたいが年下。
入社年数の浅い人ばかり。
私たちを束ねる客室係のキャプテンだけが、かろうじて二歳年上だ。

私は本社から左遷されてきた人間。
扱いづらいだろうと、ちょっと不憫に思ってしまう。


「上川さん、足りないアメニティ、ここに置いておきますね」


例のキャプテン、井森(いもり)さんだ。
ホテルマンらしく清潔な感じのする小顔美人。
キャビンアテンダントでも通用しそうな容姿は、ちょっと羨ましい。


「キャプテン、浴槽の排水溝から匂いがするんですが……」


入ったばかりの新人が井森さんの元へと駆けつける。


「排水溝から? 洗浄剤は入れてみましたか?」

「はい、やってみました。それでもまだ……」

「わかりました。すぐに行きます」


なにかあれば彼女の元へとみんながやってくる。
後輩からの信頼も厚いみたいだ。


「それでは上川さん、失礼します」


軽い微笑みと共に頭を下げ、彼女は後輩の元へと足早に去っていった。

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