溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
◇◇◇
客室清掃のノルマをなんとか終え、遅い昼食をとろうと地下の社員食堂へ向かう従業員エレベーターへ乗ったときのことだった。
一緒に乗った女子社員ふたりの会話から、“副社長”という単語が漏れ聞こえてきて、思わず耳を澄ませる。
「え? お見合い!?」
「うん」
「副社長が?」
――京介さんがお見合い……?
ドクンと心臓が音を立てる。
「うん、さっき“山口楼”の人から聞いた」
“山口楼”は、一階にある日本食のお店だ。
「ここでお見合いするの?」
「これから来るらしいよ」
「そうなんだー。あぁ、でもなんかショックかも。私じゃ絶対に無理だけど、いいなーと思ってたんだよね」
「あ、私も」
知りたくない情報だった。
私に気にする資格すらないことは、頭でわかっている。
それなのに、どうしたって心がざわついてしまう。