溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
今の私は、会社の私とはまったくの別人だからだ。
一番のトレードマークである瓶底眼鏡も、今夜はしていない。
極度の緊張が徐々に解けていく。
まさか副社長がこのパーティーに出席しているとは思いもしないことだった。
確かに、ここにいてもおかしくはないレベルの人種ではある。
年収基準も軽くクリアしているだろう。
かといって、これほど大勢の中で私に声を掛けてくることを確率にしたら、かなりの低さに違いない。
「具合でも悪いですか?」
「いえ、ちょっとこういう場に不慣れで……」
つい正直に話してしまってから、もう一歩後退した。
副社長が私に近づいたからだ。
いくら経営陣と接する機会が多いとはいえ、いち社員の私が副社長と近距離で話をすることはない。
こういった場同様に、副社長との接近戦にも慣れていない。
「それでなんだか危なっかしかったんですね」
その表情がふっと和らぐ。妙に納得されてしまった。
「……私、そんなふうでしたか?」