溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
手入れもそうだし、いちいち装着するのも大変。
それなら、さっとすぐに掛けられる眼鏡の方がずっと楽なのだ。
それに、ル・シェルブルに勤めている限りは眼鏡は外せないだろう。
「すっぴん隠しの意味合いもあります」
付け加えると、井森さんは「それはわかるかも」と頷いてくれた。
「私も化粧が煩わしく思うことはしょっちゅう」
「ですよね」
思わず身を乗り出して同意する。
ただ、眼鏡を外してばっちりメイクして、そうして変身した自分も好きだった。
でも、二度とそうすることはないだろう。
ホテルに勤めている以上、京介さんに遭遇する可能性がゼロじゃないからだ。
日本を離れるナオミを演じたのだから、それは最後まで全うしなければならない。
「ところで、上川さんの異動はどういう事情で?」
急に話が核心を突いたものだから、口に入れたばかりのネギを丸飲みしてしまった。
熱さに喉が焼ける思いがする。
急いでビールを流し込んだ。
「あ、ごめんなさい。つい、同志の感情が芽生えたものだから無遠慮に聞いちゃった。今のは気にしないで。答えなくていいから」