溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
首を横にぶんぶん振りながら「おいしいです」と答える。
「ならいいけど……」
「……副社長のお母様の逆鱗に触れてしまったんです」
井森さんが私に親近感を持ってくれたように、私も彼女に対して同じことを感じたからだろう。
話してしまいたい衝動を抑えられなかった。
空気の流れが止まったように感じる。
井森さんが皿と箸を持ったまま固まっているのが、ぼんやりと見えた。
「……どういうこと?」
箸を置いて姿勢を正す。
井森さんがどんな反応をするのか不安で、眼鏡をかけた。
「実は……」
今まで抑えてきた反動なのか、言葉がポンポン口から飛び出してくる。
身分を偽ってパーティーに潜り込んだこと、そこで京介さんと鉢合わせしたこと、違う自分のまま付き合い始めたこと。
そしてラストは、彼のお母様に嘘を見破られ、それが原因で異動になったことまでを休む間もなく話す。
井森さんはひと言も口を挟まず、ただ黙って聞いてくれていた。
最初は驚いていたような表情が、最後には眉尻を下げて悲しげな表情へと変わった。