溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
すると井森さんは、「副社長とのこと」と付け加えた。
一瞬息を止めて、ゆっくりと吐き出す。
「……もう終わったことですので」
「上川さんが一方的に終わらせたんでしょ?」
ぐっと言葉に詰まる。
確かにそのとおりだったからだ。
一方的に終わりを突きつけて、涙に任せて逃げてきた。
「でも、お見合いを……」
たぶん結婚が決まるのも時間の問題だろう。
「したくてしたわけじゃないと思うけどな。私には副社長が破れかぶれでしたように見える」
井森さんの言うことは、どちらも核心を突いたもののように感じた。
とにかく終わらせることしか頭になくて、京介さんの気持ちはまるで無視。
両親と海外へ越すなんて嘘で幕を閉じた。
それなのに、亜樹とのお見合いの現場を目撃して、心をえぐられたような気さえしていた。
重ね重ね、身勝手だ。
「ごめん、上川さん。知り合って間もないのにズケズケ言って」
なにも言えなくなった私を心配して、井森さんは申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「いえ! 井森さんが謝ることじゃないですから」
慌ててフォローする。
「ううん。でも、なんとなくこのまま終わりにしていいのかなって思っちゃったから」
かといって、今さらどうしたらいいのかわからない。
その場限りの嘘は、京介さんのお母様も巻き込んだ、私の手に余るほどになってしまった。
自分を偽った代償は、あまりにも大きかったのだった。