溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
割とすんなり引き下がってくれたものの、さすがの副社長も困ったような顔をしていた。
ちょっと悪いことをしてしまったかと心配になる。
「食べないの?」
「いえ、いただきます」
いくつかある前菜のうち、サーモンのマリネを口に運んだ。
おいしいのはわかったが、味を見分している余裕は一切ない。
セレブに囲まれていることよりも、副社長がそばにいることの方が私にプレッシャーを与えた。
そうしてひたすら食べているときだった。
少し離れたところでガシャーンと皿の割れるような音が響き渡った。
そちらを見てみると、スタッフの女性が「申し訳ありません」と頭を下げていた。
咄嗟に身体が動く。
持っていた皿を躊躇いもなく副社長に預け、その場に急行した。
「大丈夫ですか? お怪我はありませんか?」
双方に声を掛ける。
床にはワイングラスなのか、真っ赤な染みと破片が散らばっていた。
男性客にぶつかって落としてしまったのだろう。
早く破片を拾わないと。
掃除用具はどこだろう。