溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
でもそれはどうだろう。
三つ下の弟はいるが、情けないことに私が面倒をみるというよりは、みられる方が多い気がする。
姉の威厳はあまりない。
「甲板に出てみようか」
不意に副社長が私の手を取った。
ドクンと心臓が音を立てる。
それは、今までで一番激しい鼓動の振幅だった。
男の人と手が触れ合ったのは、何年振りか。
大学生以来だとしたら、八年近く経っている。
免疫はまるでナシと言っても言い過ぎではない。
しかもそれが、密かに憧れていた副社長の手なのだ。
ドキドキを通り越して、心臓が突然止まってしまってもおかしくない。
少し歩き出すと、その手は再び私の腰に回された。
高いヒールのパンプスに慣れない上、全身に力が入って変な歩き方になる。
対して副社長の華麗な身のこなしといったらない。
仕草から表情から、マイナス点をつける要素がどこにもないのだ。
顔見知りなのか、甲板に向かう途中ですれ違う人たちと軽く挨拶を交わしながら、私を優しくエスコートしてくれた。
それが居心地の悪いような、ちょっとした優越感に浸れるような、ごちゃごちゃの感情だった。
とにかく、くすぐったい。