溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
ただ、そんな素振りを見せるわけにはいかないのだ。
平静を装ってシートに身体を預けると、車は静かに発進した。
豪華客船がどんどん小さくなっていく。
ほかに誰もいない空間に副社長とふたりきりになったことで、今まで以上の緊張感に包まれた。
「どこへ行くんですか?」
「それは着いてからのお楽しみ」
彼がいたずらに笑う。
「ただ、俺のことを笑わないでくれると助かるな」
副社長を笑う?
どこへ連れて行くつもりなんだろうか。
その目の奥を覗いてみてもヒントさえ見つからなくて、曖昧な笑みで返すしかなかった。
しばらくすると、車は街中の比較的交通量の多いところで停められた。
「帰りはタクシーを使うので、待たなくて大丈夫です」
運転手にそう告げ、先に降り立った副社長が手を伸ばす。
そこに自分の手を重ねると、ゆっくりと引き上げて私を車から降ろしてくれた。