溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

「顧客の立場で考えてみれば、同じホテルグループを利用していれば、嗜好データはすべてのホテルで共有されていると考えて当然だとは思いませんか?」


副社長は極めて穏やかに私たちに訴えかけた。
誠実かつ的確な考えだ。

確かに副社長の言うとおりだと思う。
“数週間前に利用したホテルと同じ系列なのに、なんで同じことを聞かれるのだろう”と思う顧客はいるに違いない。
今までそういった苦情はあがってきていないが、お客様の心の中に小さな不満として鬱積している可能性はある。

岸本部長を始め、企画部の面々は深く頷いた。


「そろそろうちも、デジタルインフラやツールへの投資に本腰を入れるときかもしれません」


漠然と掲げた“顧客データの活用”を形のあるものに。
副社長はそう言っているのだ。


「では早速、情報システム部へそういった情報を収集できる管理システムを構築できないか掛け合ってみます」


岸本部長はそう答えると、副社長は「よろしくお願いします」と丁寧に頭を下げた。

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