溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
◇◇◇
あの夜から十日が過ぎようとしていた。
連絡先の書かれた副社長の名刺を出してはしまうことを繰り返し、手書きの文字を眺めてはため息を漏らした。
昨夜は、お風呂上がりの部屋で、プライベートナンバーの十一桁のうち十桁までをスマホでタッチし、ラストのひと桁は思いとどまった。
私はいったいなにをやっているんだろう。
一夜限りの夢の時間に過ぎなかったのに。
副社長に優しくされて、キスまでされて、すっかり舞い上がって『また会いたい』と頷いてしまったけれど、私は上川美緒奈なのだ。
セレブのナオミじゃない。
会っていいはずがないのだ。
会ってしまったら、嘘を吐き続けなければならなくなる。
スマホをテーブルに起き、カーペットの上にゴロンと寝転んだ。
それに、ほかにいくらでも恋人候補のいそうな副社長のこと。
私のことはとっくに忘れている可能性だってある。
社交辞令で誘っただけなのにと煩わしく思われるのも怖かった。
そもそもつり合いの取れない私は、副社長に連絡をしていいはずがなかった。
結論は何度もそこに落ち着いてしまった。
そんな想いを胸に抱えたお昼のあと、亜樹と並んでトイレで歯磨きをしているときのことだった。