溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
つい立ち止まって見入っていると、副社長は私の腰に回していた手を引き寄せた。
パーティーならまだしも、こういった店にも不慣れでは不自然だ。
気を持ち直してエスコートに身を任せた。
玉砂利に置かれた飛び石を進み、大きな引き戸を開ける。
すると、三十代くらいの着物姿の女性が出迎えてくれた。
副社長を見て「芹川様、いらっしゃいませ」と頭を下げる。
すぐに名前が出てくるということは、常連みたいだ。
そのうしろから衣擦れの音と共に、細身の女性がもうひとり現れた。
最初の女性が軽く会釈をして下がったところを見ると、あとの女性の方が女将なのかもしれない。
居ずまいも凛とした雰囲気も、それに相応しい。
「京介さん、ずいぶんと久しぶりじゃないの」
「そうですね。三ヶ月ぶりでしょうか」
「忙しいみたいでなによりよ。ところで……」
そこで女将さんらしき女性が私へ目を向けた。
ピンと背筋が伸び、緊張が走る。
「こちらは川上ナオミさんです」
「――は、初めまして、川上ナオミです」
慌てて頭を下げた。