溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
要領を得ない会話だった。
いったいなにを言いたいのか。
そして、数秒間押し黙ったあと、お母さんは「それじゃ、仕事頑張るんだよ」と電話を切ってしまった。
スマホを持って首を傾げる私に、亜樹が「どうかしたの?」と聞く。
「母親からだったんだけど、ただ仕事の調子はどうかって」
それだけの用件で。
唐揚げにレモンを絞りながら答えると、亜樹は頬を緩めた。
「そろそろ結婚はどうかって聞きたかったんじゃないの?」
「――け、結婚!?」
驚いた弾みで、レモンが亜樹のトレーへ飛んで行った。
それを慌てて回収し、指先をナフキンで拭う。
「私たち二十八歳だし。そろそろそういう話があってもおかしくないでしょ?」
「まぁ、それはそうだけど……」
見た目が冴えない私のことは、母もよく知っているはず。
彼氏はできたか、結婚はどうかという確認は、見当外れに思える。