夜界の王


「可愛い…!」


見たことのない花だったが、小柄で可愛らしい花がページ一面に載っていた。

ダレンから本を受け取ると、アーシャは頰を紅潮させながら花々のイラストを指でなぞった。

イラストの横の文章には、どういった場所で咲きやすいのかとか、栽培するやり方などが細かく書かれていた。


「気に入ったか」


ダレンの言葉にアーシャは大きく頷いた。


「ええ! 植物って、こんなにたくさん種類があったのね」

「その一冊が全てではない。そこの棚にある本は主に植物についての資料だ」


アーシャは本棚を振り返り目を丸くした。

植物一つとってもこれほど膨大な書籍の量になるのか。

植物の知識にはとても興味があったが、予備知識も何もない自分が全て読み終えるには、どれほど時間がかかることだろう…。


「では、俺はそろそろ行く。何か不自由があればそこのベルでアシュレーを呼ぶといい」


ダレンは暖炉の上に置いてある赤いリボンのついたリボンを指差しながら言った。


「わかりました。い…いってらっしゃいませ」


無言で送り出すのも気が引けて、アーシャは小さく言う。


ダレンはアーシャの言葉に意外そうに目をひとつ瞬かせると、応えるように頷いてその場を去っていった。



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