行雲流水 花に嵐
「早速女どもを移そうと思います」
勝次が頭を下げたまま亀松に言う。
亀松は、懐から出した煙管に火を点け、不機嫌そうに煙を吐き出した。
「それだがな、移すといっても、いい場所なんざねぇだろ。お前、まさか色町の見世に入れようってんじゃねぇだろうな?」
「そ、それは……」
あら、なんだ、色町の亀屋に移すのであれば、別に行き先を確認する必要なかったじゃない、と片桐が思っていると、亀松が、ちょい、と煙管を片桐に向けた。
「折よく腕の立つ旦那が来てくれたんじゃねぇか」
そう言って、亀松はずいっと片桐を覗き込むように身体を乗り出した。
「なぁ旦那。勝次はわしの右腕だけあって、こっちの腕も相当なんだぜ」
言いつつ、煙管を刀のように振って見せる。
「元々江戸での賭場で用心棒をしてたのを、わしが引っこ抜いたのよ。賭場でのいざこざで、客三人を斬り捨てたんでな、江戸から姿をくらます必要があったし。そこに居合わせたわしが、身柄を引き取ったってわけよ」
「へぇ、そいつぁ……」
ぎらりと、片桐の目が光る。
戦闘狂の血が騒いだらしい。
「その勝次が連れて来たんだ。旦那も相当なんだろう?」
「当然よ。なめないでくれる」
間髪入れずに言うと、亀松は満足そうに頷いた。
「なら、わざわざ女どもを動かす必要はねぇ。色町の見世よりも、ここのほうが安全だしな。何かあっても旦那がいてくれりゃ大丈夫だろ」
「そ、そりゃ……」
「お前の手下が逃がしたってぇ女と、そいつを助けた牢人を、さっさと始末しな。ついでにその手下も殺っちまえば、ここを知る外部の奴はいなくなる」
「た、竹次もですかい」
勝次が驚いたように顔を上げる。
それに、亀松は冷たい目を向けた。
「てめぇの不始末だろうが。それか、今取引してるお武家への橋渡しにしな。金の受け渡しが済んだら、ばっさり殺られるかもしれねぇしな」
「……へい」
小さく答えて、勝次は部屋を出て行った。
勝次が頭を下げたまま亀松に言う。
亀松は、懐から出した煙管に火を点け、不機嫌そうに煙を吐き出した。
「それだがな、移すといっても、いい場所なんざねぇだろ。お前、まさか色町の見世に入れようってんじゃねぇだろうな?」
「そ、それは……」
あら、なんだ、色町の亀屋に移すのであれば、別に行き先を確認する必要なかったじゃない、と片桐が思っていると、亀松が、ちょい、と煙管を片桐に向けた。
「折よく腕の立つ旦那が来てくれたんじゃねぇか」
そう言って、亀松はずいっと片桐を覗き込むように身体を乗り出した。
「なぁ旦那。勝次はわしの右腕だけあって、こっちの腕も相当なんだぜ」
言いつつ、煙管を刀のように振って見せる。
「元々江戸での賭場で用心棒をしてたのを、わしが引っこ抜いたのよ。賭場でのいざこざで、客三人を斬り捨てたんでな、江戸から姿をくらます必要があったし。そこに居合わせたわしが、身柄を引き取ったってわけよ」
「へぇ、そいつぁ……」
ぎらりと、片桐の目が光る。
戦闘狂の血が騒いだらしい。
「その勝次が連れて来たんだ。旦那も相当なんだろう?」
「当然よ。なめないでくれる」
間髪入れずに言うと、亀松は満足そうに頷いた。
「なら、わざわざ女どもを動かす必要はねぇ。色町の見世よりも、ここのほうが安全だしな。何かあっても旦那がいてくれりゃ大丈夫だろ」
「そ、そりゃ……」
「お前の手下が逃がしたってぇ女と、そいつを助けた牢人を、さっさと始末しな。ついでにその手下も殺っちまえば、ここを知る外部の奴はいなくなる」
「た、竹次もですかい」
勝次が驚いたように顔を上げる。
それに、亀松は冷たい目を向けた。
「てめぇの不始末だろうが。それか、今取引してるお武家への橋渡しにしな。金の受け渡しが済んだら、ばっさり殺られるかもしれねぇしな」
「……へい」
小さく答えて、勝次は部屋を出て行った。