行雲流水 花に嵐
 さてさて、と片桐は状況を整理した。
 ここまで来たものの、女たちの居所は依然わからない。

 女たちのことなどどうでもいいのだが、そこに太一がいるのなら今の状況はよろしくない。
 居所がわからないと、太一がいるかどうかも確かめられない。
 宗十郎たちをここに踏み込ますにしても、うっかり太一がいなければ意味がないのだ。

 それに、ここに留め置かれると、要蔵たちに連絡出来ないではないか。

「あのさぁ、親分さん」

 考えつつ、片桐は口を開いた。

「あたしはいきなりここに連れてこられたんだけど。あたしまで拐かしにあったってことかしら」

 家族があるようにも見えないだろうし、下手に帰りたがるのも怪しいだろう。
 だがずっとここに留め置かれるわけにはいかない。

「そうなのかい。まぁ口が堅いから右腕も務まるんだがな」

 ふふ、と笑って、亀松は紫煙を吐き出した。

「別にここの用心棒をすることに異存はないのよ。けどね、一旦は亀屋に帰らせて貰えるかしら」

「何でだい?」

「竹ちゃんに牢人のこと聞かなきゃ」

 ちょっと、亀松が妙な顔をした。

「竹ちゃん?」

「竹次。例の女子を逃がした三下よ」

「ほぉ」

「牢人を斬るのは、元々あたしが頼まれてたことなのよ。竹ちゃんが殺られる前に、牢人のこと聞き出さなきゃ」

「竹次って奴が危ないからかい? 優しいねぇ」

「そうじゃないわよ。ただ、多分今のところ牢人を知ってるのは竹ちゃんだけなの。どいつか聞いておかないと、先に竹ちゃんが殺られちゃったら手掛かりがなくなるわ」

「なるほど、そうだな」

「牢人が竹ちゃんに殺られちゃったら、まぁそれはそれでいいんだけど。あたしの獲物を取られるのは癪だわね」

 間違っても竹次に宗十郎が殺られるとは思わないが、片桐は不満そうに言った。
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