放課後、渡り廊下。
すーっと私の行く手を塞いでた腕が消えた。
宮下くんはなんだか傷ついてるみたいな顔してて、ちょっと困る。

「泣かせるつもりはなかったんだ。
その、さっき教室で話してたの聞いて、あの」
 
……なんだ、そういうこと。
でもそれで、こんなことを聞いてくるなんてそういうこと、なんだよね?

「もう怒ってなんかないよ。それにね」

「……それに?」
 
窺うみたいに宮下くんが私の顔を見る。
ちょっと叱られたわんこみたいな顔が可愛い。

「私は宮下くんのこと……好き、だよ?」

「それって……」

「もう、私にあんなことしといて鈍いなー。
私は宮下くんのことが好きだっていってるの」

「白坂!」
 
名前を呼ばれたと思ったら、宮下くんに抱きしめられてた。

顔が熱い。
心臓がドキドキする。
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