拾われた猫。Ⅱ
「…〝尚、新選組隊士であることを受理されていない『香月雨』を連行せよ〟」
斎藤一から聞かされた内容。
2人は息を呑んだ。
果たしてどこから漏れてしまったのか。
そんなことは3人には…いや、話を聞いている全員察しがついているだろう。
「…やってくれたね」
「菊さんかっ…」
沖田総司は眉間に皺を寄せたまま呆れ笑いを、藤堂平助はギリッと噛み締めていた。
その様子を後ろに感じる斎藤一は瞼を閉じた。
各々別の反応を見せるも、己から吐き出す空気は相似していた。
新選組は女王の部隊である。
女王を護り、付き従うことでその部隊の存在意義を示す。
よって、女王には部隊に関する全ての情報を明かさなければならない。
だが、〝香月雨〟という存在は特異なものである。
元々他世界に住んでいた彼女の存在はここでは無いものになっている。
その為、部隊に入れるにしても報告出来なかったことくらいは、3人にも安易に予想できた。
たくさんの気配の漂う大広間につき、その襖を開く。
中は神妙な面持ちが沢山あった。