拾われた猫。Ⅱ
夜になり、少し動けるようになった。
可愛らしくまるまって寝息を立てる彼女を見て、総司の部屋に向かった。
気配を殺して障子を顔を半分ほど開くと、スヤスヤと眠る彼にフッと笑う。
そして縁側から地面に足をつけ、空を見上げた。
「…今夜は新月だ」
1歩、2歩と前に出て、総司の部屋の方に振り返る。
目を瞑るとあの時のようにまた歌を歌う。
こんな静かな夜にも、誰1人起きては来なかった。
光は総司の部屋に吸い込まれるように入っていった。
それを見届けてから、私も部屋に戻る。
障子を閉じた瞬間、力なくその場に倒れる。
「にゃぁ…」
ノアの弱々しい鳴き声が私の頬に擦り寄る。
「…の……あ、…大丈夫…。
っっっ!!!!」
声にならない痛みが全身を組まなく襲う。