拾われた猫。Ⅱ
その時だった。
ノアの瞳が気のせいかと思うくらいに一瞬煌めいた。
同時にノアの体から出た白い煙が部屋を覆う。
何も見えなくなった私の体をフワフワと優しい何かが包み、温かい緩い風と共に煙が無くなった。
「ノア…?」
部屋中を覆い尽くす大きなフサフサの体。
その持ち主は大きな顔を私に向けている。
凛々しくて優しい瞳の下にいつもは無い白い線の模様が入っている。
私を大事そうに包むのはどうやら尻尾のようだ。
「…こんなに大きく…なれたんだね」
フッと笑って、その温かさに抱きつこうとすると、また激痛が走る。
見兼ねたノアは私の体を自分のお腹に更に擦り寄せる。
安心したからか、糸が切れるように意識を手放したのだった。