拾われた猫。Ⅱ
「雨ー!
開けるぞー?
うぉわっ!!」
平助の大きな声で瞼を開ける。
まだ体が痛い。
「ガゥルル…」
絶句する平助に威嚇する頭を優しく撫でる。
「大丈夫だよ。
私ももう動ける」
そう言うと、唸るのを止め、元の姿に戻った。
痛む体を少しずつ動かすと、平助が慌てて支えてくれる。
小さくなったノアは膝には乗らず、頭を擦り付ける。
「ごめん、ありがと」
「そんな事いいけど、まだ治らないんだな…」
子犬のような瞳はか弱く、戦っている時の平助なんか思い出せない程だった。
そんな彼がいつも可愛らしくて、同い年なのに弟のように感じる。