拾われた猫。Ⅱ
「私も…自分にこんなことが出来るなんて知らなかった」
目を丸くして私を見る平助。
小さく漏れた「…え?」という言葉に少しずつ丁寧に説明する。
「…いつも夢に出てくる琥珀の髪の男がいるんだけどね、その人に自分のこと教えてもらったんだ。
私のことなのに、私よりもよく知っている不思議な夢」
怪訝そうな彼は黙って私の話を聞いていた。
「…そんな夢に縋ってでも、今は守りたいものがあるから。
だから、私はその男の言葉を信じた。
そしたら、あんな感じで出来たわけ」
クスクスとわざとらしく笑う私と違って、首を傾げた。
「じゃあなんで、雨はあの後体調悪くなったんだ?」
至極素朴で当たり前の疑問。
そんな素朴な質問に、私の心が躊躇う。
私が素直に言ったとしよう。
心配性な平助のことだ。
私が能力を使う度に心を痛める。
総司がまだ完全に治ってないことを知ると、私に「やめろ」とも言えずに心で悩み続けるはずだ。