拾われた猫。Ⅱ
それから3日間、夜は総司の部屋の前に通い詰めた。
誰も起きてこないような夜中に、ひたすら歌い続ける。
平助は素直だから私の嘘を信じてくれたけれど、流石に体の治りが遅くて、また心配させてしまった。
ノアは私がボロボロになって帰る度に朝まで、大きな体で温めてくれた。
どうして急に大きくなれたのか。
そんなことは分からないし、あれから琥珀色の彼が夢に出てこない。
いくつかの謎を紐解くことは出来ないまま、総司はどんどん体を治していった。
そのおかげか、私の体に来る負担も少しずつ減っていった。
そして今日。
呼吸は荒く、立つことがやっとの体になったけれど、いつものような体の痛みは無い。
「ハァ…ハァ…、これで………総司もまた…」
〝嫌味っぽく笑ってくれる〟。
そう思った瞬間、障子が静かに開いた。
勢いよく振り返るが、体は言うことを聞いてくれずに少しずつ傾く。
それを支えたのは、今や力強い腕だった。