拾われた猫。Ⅱ
「ちょっと、翔…っ!」
引っ張られながら私の部屋の前まで来た。
翔は振り返って、いつものようにニコッと笑った。
「ほら、雨さんも座りましょ」
縁側に座った翔は自分の隣をトントンと叩いた。
溜め息をつきながらもそれに従う。
「俺と原田さんが町にいたのは、土方さんがおつかいに行けって言ったからなんすよ」
「しかも大量に品あったんすよ」と苦笑いを浮かべた。
どうしてその話をするのか、意図が読めずに、こてんと首を傾げる私。
翔はクスリと笑って、目の前の木に止まる虫を見ていた。
「ここからは俺の勘っすけど、原田さんとあの自称婚約者さんは過去になんかあったんでしょーね。
俺たちがおつかいに行ってる間に片付けたかったんじゃないっすか?」
翔は足元の小石を拾って、親指で弾くと木の虫に向かって飛んでいった。
真横に外れた石に驚いたのか、虫は鳴き声を上げながら飛んでいってしまった。
「あーぁ、外しちゃったぁ」
わざとらしいそれは余裕を感じた。
〝外しちゃった〟…か。