拾われた猫。Ⅱ
「猫又は本来人には懐かない。
縄張り意識も強く、仲間意識も強い」
話の脈絡が分からず、頭を捻る私に「まぁ聞け」と片手を上げた。
「普段彼らは小さな体だ。
…だが、縄張りが荒らされた時、そして仲間の為なら姿を変えるのだよ」
彼の話にハッとする。
私は部屋に帰った時、とても立っていられる状態では無く、戦場であの状態になれば狙い討たれる。
確かにあの場で私を狙う者はいない。
けれど、ノアにとっては私と一以外では心安らぐ所が無い。
「…つまり、ノアの警戒心がそうさせたのか…」
「そういう事だ」
どうりで何もしてないにも関わらず平助が唸られたわけだ。
安らぐ場ではないとはいえど、最近は何もしなければ新選組の人達なら唸らないようになった。
まだまだノアの中の世界は狭いんだ…。
「自分たちを壊滅に追いやったのは人間だ。
…早々に慣れることは出来ないだろう。
斎藤一には慣れ始めているようだが、お前に危害を加えようものなら、容赦はしないはずだ」
冷たく微笑む彼は少し痛々しくも思えた。