拾われた猫。Ⅱ
「悪い」
左之はしばらくして私を解放した。
寂しさと少しの安堵を感じていた。
私がそんなふうに思っていることなど知るはずもなく、左之はすぐに微笑を浮かべた。
「……お前の泣きそうな顔は反則だな」
「どういうこと?」
私の質問には苦笑するだけで答えてくれなかった。
「何でもねぇよ。
あ、そうだ。
聞こうと思ってたんだが、『ウザい』ってなんだ?」
思い出したように話題を切り替えた。
今度は彼が私に首を傾げていた。
「こっちでは使われない言葉なんだね。
『うざったい』を略した言葉。
鬱陶しいってこと」
「へぇー。
『ウザい』か」
玩具を与えられた子供のように、その言葉を口にして嬉しそうに笑った。
私には当たり前の言葉なのに、ここの人たちには特別な言葉になりうる。
そう考えると、少し面白い気もした。