拾われた猫。Ⅱ
「『ウザい』の意味を聞きに来ようと思ったんだ」
「そういえば聞き忘れていたから」と付け加えた。
総司が私の横顔を見ているのがわかるが、表情までは読み取れなかった。
月を見たままクスクスと笑った。
「それ、左之も聞きに来た。
『うざったい』って意味だよって教えてあげたんだけど」
「…へぇー」
左之と総司の返事は同じなのに、声音が違った。
左之は新しいことを覚えるのが嬉しそうだった。
総司は……作り笑いをしていた。
「あ、やっと僕の顔を見たね」
無意識に顔を総司に向けていたことを、言われて初めて気づいた。
総司の作り笑いは完璧で、何を思っているのか分からない。
だけど、総司の作り笑いは好きだ。
必死に取り繕う姿は人間そのものだ。