拾われた猫。Ⅱ




原田左之助が菊を連れてきた時にはもう全員集まっていた。



菊は大広間に入って絶句する。



明らかにいつもと雰囲気が違う原田左之助を含めた幹部たち。



土方歳三は彼らが座って早々に話し始める。




「香月雨が居なくなった。

無断外出はこれで3度目だ。

相当な理由が無い限りは見逃すことは出来ない。

誰か、何か聞いている者は居ないか?」



凛とした声が大広間を通り抜ける。



だが、誰一人言葉を発するものは居なかった。



近藤勇と土方歳三は目を合わせ、顔をしかめた。



「トシ、まずは彼女を探しに行った方が…」

「この人数で町を、か?

それとも隊士たちも総動員してか?」



土方歳三が言いたい事が分かったのか、近藤勇は口をつぐんだ。



その姿に、「悪ぃ」とだけ言って近藤勇から顔を逸らす。



この場でほくそ笑む者の姿は誰も見ていなかった。



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